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覚醒
この世の中には、一般の人が知らない特殊能力を持つ精霊がいる。
イーサン・富樫は小さなころ、日本人の祖父と結婚をしたアメリカ人の祖母ハンナから、童話の代わりに5種類の精霊の話を聞いて育った。
純粋な精霊はもう数えるほどしかいなく、どこに姿を隠しているかは定かでないという。
たいていの精霊は土地開発に乗り出した人間に追われ、人間の振りをして、国から国へと渡って、今では世界中に散らばって子孫を残しているらしい。
イーサンはハンナから初めてその話を聞いたときに、疑いもせず、どんなタイプの精霊がいるのかを尋ねた。
「精霊は、火・水・大地・風・植物の5種類に分かれていて、それぞれの分野を自由に操れるの」
「へぇ~っ。すごいや。僕は火の精霊がいいな。かっこよさそうだもの」
男の子のせいか、アウトドアで焚火をしたりして、火は調理をするにも、暖を取るにも、動物から身を守るのにも大切だと知っているイーサンは、強い力を持つ火の精霊に憧れた。
そんなイーサンに、ハンナは苦笑しながら答えた。
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