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「そんなこと言わないで。植物を操る力は偉大なのよ。空気を浄化し、生命を育むのに植物は欠かせないの」
それまでの精霊の話と違い、祖母があまりにも必死で植物の精霊をかばうので、イーサンは不思議に思った。
「ひょっとして、グランマは植物の精霊に会ったことがあるの?」
「そうね。よく知っているわ。精霊と人間の間に生まれた子孫の中には、体のどこかに印が現れるのよ。特殊な力を持つものが増えすぎないように制御されているのか、その印を持つ者が亡くなると、一族の誰かに印が現れるの」
「印?どんな?」
イーサンはそう尋ねながら、ふと以前から気になっていた祖母の首筋に目をやると、ハンナはその部分が見やすいように、スカーフを外した。
ハンナの首筋には葉っぱの形をしたあざがあった。葉脈まで見えるほどの美しい影絵のようなあざに、思わず手を伸ばして触れたイーサンは、指先がびりびりとしびれるような感覚を味わい、ハンナが支えなかったら、驚きのあまり後ろへひっくり返ってしまうところだった。
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