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イーサンは自分の手を裏返したりしてじっと観察したが、どこにも変わったところを見つけられず、自分にもその力があるだろうかと訝しんだ。
「僕にも植物を育てられる?」
「そうね。やってみましょうか?」
イーサンの輝く笑顔を見て、ハンナは庭に連れていき、花壇の前でしゃがみこんむと、イーサンもハンナに倣って隣にしゃがみ、きらきらした目でハンナを見上げてくる。
「土に触れるか、手をかざすかして、植物が発芽するイメージを頭で描いてごらんなさい」
「それだけ?呪文はないの?」
途端にがっかりした顔になった孫の頭を撫でながら、魔女ではないから呪文はいらないとハンナが優しく諭す。納得したのか、イーサンは土に手をかざし、寄り目になるぐらい地面をじっと見つめていたが、かざすだけでは力不足だと悟ったのか、途中から指を土にめり込ませた。
イーサンは頭でイメージしようとするが、うまくできず、時々口の中で何かをぶつぶつ呟きながら力をこめる。白くなった指先とは反対に、顔が真っ赤染まり、荒い息を吐きながら肩を上下させた。
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