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ハンナは夫婦の相談に乗り、次男のジョンを悪い仲間から足抜けさせれば【Green Garden】で雇ってあげると請け負った矢先に、ジョンがマックロ―二夫妻の元にひょっこりと姿を現した。
夫婦がジョンから話しを聞くと、縄張り争いで相手のギャングの一員に傷を負わせてしまったらしく、仲間たちから雲隠れしろと言われたらしい。
匿ってもし見つかったら、ハンナにも迷惑がかかると知りながら、夫妻は息子を狼の群れに放り出すこともできず、ほとぼりが冷めるまで、仲間の誰にも連絡を取らず、敷地内から出ないことと、雇い主に礼儀を尽くすことを約束させて、ジョンを手元に置くことにした。
最初のうちこそ、両親の言いつけを守って大人しくしていたジョンだったが、数日もすると、今まで自由にやって来た分、両親と同居では窮屈で堪らなくなり、やることもなく誰にも会わずにいるのは退屈だったので、敷地内をうろつくようになった。
両親は早朝にトガシ家へ仕事をしに行くため、ジョンも自然と早寝早起きの習慣に合わせるようになり、その日も両親が出かける物音で目が覚めて、チンピラらしからぬ時間にベッドの上にむっくりと起き上がった。
2度寝しようかと思ったが、鳥たちのさえずりが煩く、カーテンを開けて窓の外を見ると、窓の外には春の花が咲き乱れて気持良さそうに揺れている。
その光景に誘われるように、ジョンは鈍った身体を動かすために、散歩に出ることにした。
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