60人が本棚に入れています
本棚に追加
広い敷地内には遊歩道のように敷石が敷いてあり、小屋から5分ほどの距離に両親の雇い主であるトガシ夫妻の屋敷がある。
屋敷を通り越してまた5分ほど歩けば門があり、そこを抜けて道沿いに行けば、10分ほどで植物プラントの事務所があることを、このところの散策でジョンは知った。
事務所に行く道沿いの土地もロバーツ親族のものらしく、様々な植物を育てているビニールハウスなどが並んでいる。
ジョンは別に植物に興味があるわけではないが、ここの植物園の植物は丈夫で珍しい物も多いと母から聞いたので、植物を丈夫に早く育てるノウハウが分かれば、大麻など薬の元となる植物を育て、一儲けできるのにと単純に考えて、秘訣を探り出そうとしていた。
ジョンが門を目指すべく、屋敷の側を通りかかった時に、開いた窓からこの家に住むハンナという美しい老婦人が、誰かに語りかける声を耳にした。
「イーサン。ひょっとしてあなた精霊の印が出たの?」
ジョンは首を傾げた。 イーサンはハンナの孫だと聞いているが、精霊の印とは何だ?ハンナを遠目に見た時には、歳の割には若くて美しいと思ったが、ひょっとしてもうボケが始まっているのだろうかとジョンは思った。
最初のコメントを投稿しよう!