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ルナはぐっすりと眠っている男の肩に飛び移り、修復する箇所を探した。
本当ならここに着いてから、依頼主に修復する箇所を聞いて、施術をするはずだったのに、この依頼主はのんびりとお昼寝をしてしまっているので、自分で探さなければならない。
でも、それは案外早く見つかった。
(あっ、こめかみに穴が開いてる!これだわきっと。良かった早く治しちゃいましょ)
ルナは男の肩からぴょんと頬にジャンプして、羽を広げてこめかみの穴にかざし、額に意識を集中させる。
ルナの身体が発光しているように明るくなり、羽の先からきらきらした光の粉が舞い降りた。
何度も羽を動かすうちに、穴の淵の皮膚が内側へと蠢いて、どんどん穴は小さくなり、やがて塞がった。
ただ、それだけでは無理やり伸ばした皮膚が波打っているので、ルナはかざした左右の羽を交互にサッサッと入れ替えながら、呪文を唱えた。
「ルナ、ごっきげ~~~~ん」
すると、男のこめかみは最初から穴など無かったように、きれいに修復されたので、最終確認をしたルナは満足して、家路へと急いだのだった。
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