ルナ、お手伝いしたもん

3/10
前へ
/81ページ
次へ
 ルナはぐっすりと眠っている男の肩に飛び移り、修復する箇所を探した。  本当ならここに着いてから、依頼主に修復する箇所を聞いて、施術をするはずだったのに、この依頼主はのんびりとお昼寝をしてしまっているので、自分で探さなければならない。  でも、それは案外早く見つかった。 (あっ、こめかみに穴が開いてる!これだわきっと。良かった早く治しちゃいましょ)    ルナは男の肩からぴょんと頬にジャンプして、羽を広げてこめかみの穴にかざし、額に意識を集中させる。  ルナの身体が発光しているように明るくなり、羽の先からきらきらした光の粉が舞い降りた。  何度も羽を動かすうちに、穴の淵の皮膚が内側へと蠢いて、どんどん穴は小さくなり、やがて塞がった。  ただ、それだけでは無理やり伸ばした皮膚が波打っているので、ルナはかざした左右の羽を交互にサッサッと入れ替えながら、呪文を唱えた。 「ルナ、ごっきげ~~~~ん」  すると、男のこめかみは最初から穴など無かったように、きれいに修復されたので、最終確認をしたルナは満足して、家路へと急いだのだった。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加