ルナ、お手伝いしたもん

6/10
前へ
/81ページ
次へ
「おいしい?ルナ。あなたの身体は月光の光のように淡い黄色だからルナよ。私はカミラ・プティよろしくね」  それから毎朝ルナを掌に載せて、ルナごきげん?と訊くカミラが大好きになり、朝一番に耳にするお気に入りの幸せの呪文「ルナごきげん」も言えるようになったころ、ルナの身にある事故が起きた。  カミラは形成外科医として、普通の人の治療をしているけれど、実は魔法を使って傷や痣などを消す裏家業もやっている。  そちらのお客さんは主に、人間界だけでなく、魔界に住んでいる魔法や呪術を使う者たち、そして、その使役たちだ。  カミラのリカバリーマジックは見事なもので、酷い傷跡や命に関わる模様、つまり呪詛などによって浮き出た文字や模様を消してしまうこともできるので、口コミで依頼が増えていった。  そうなると、日中人間の中に溶け込んで暮らすための形成外科の仕事と、魔女の仕事が両立できなくなり、悩んだカミラは使役に力を与え、簡単な治療を任せることを思い立った。  使役にしようと連れてきた野良猫を庭に描いた円陣に座らせ、まさに魔術をかけようとした瞬間、野良猫の番が乱入して来て円陣に突進し、その様子に驚いたルナはカミラの肩から飛び立ったために、カミラの杖から放たれた使役の契約呪文に絡めとられてしまった。  そして、今に至る・・・。
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加