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出勤前の静かなひと時を、カミラはダイニングテーブルの上に置かれた新聞に目を通しながら、コーヒーを飲んでいた。
肩にはルナが止まり、せっせと羽つくろいをしている最中で、頭をぐっと後方に捻じ曲げ一本の長い尾羽を咥えて引っ張ると、他の尾羽が広がって、まるでオッケーマークに見えるところが愛らしい。
最近は使役として、簡単な治療ならルナがやってくれるので、忙しいカミラはとても助かっていた。
そして、ルナが使役であることは、もう一つ利点があることに、カミラは気が付いた。
カミラも慣習に習って選ぼうとしたほど、魔女の使役は黒猫というイメージが強いので、もし自分が危ないことに巻き込まれても、ルナはただのペットとして見られ、難を逃れるかもしれないということだ。
ほうきに乗ったり、瞬間移動に頼らなくても、ルナは自分の羽で飛んでいけるし、何と言っても赤いほっぺのとぼけ面が依頼者の警戒心を解く。
ただ、そのおとぼけ顔に見合ったドジな面があるのが玉に瑕ではあるけれど・・・
そんなことを思いながら、新聞を読んでいたカミラは、ある一面に目を留めた。
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