Side:Tsugumi

1/4
前へ
/21ページ
次へ

Side:Tsugumi

シャワーも浴びたいし着替えたかったので、一旦家に戻ってから大学に行くことにした。 佳祐の家からの帰り道、昨夜のことを思い出しては赤面して。周りから見たら、完全に不審者だったに違いない。  ──あんなふうに抱かれるなんて。 「好き」とか「可愛い」とか、一生分言われたんじゃないかって気がする。 めちゃくちゃに抱かれて、最後の方の記憶はほぼない。激しくてタフで、でも優しくて。気持ちよくて身体も心も溶けそうだった。 佳祐って、エッチ、うまかったんだ。それとも相性の問題?……気持ちの、問題? つぐみ、って掠れた声で呼ばれるたびにきゅんとして、キスされるたびに震えて。 ずっとずっと、親友だったのに。佳祐が「男」になることなんて、考えられなかったのに。 気づいてしまったら、もう最後。わたし、思ったよりも佳祐に惹かれてる。 ──俺の彼女になってくれんの? もう記憶も曖昧だけど、眠りに落ちる直前に佳祐にそう訊かれた。うん、って返事したのも覚えてる。 そのままぎゅって抱きしめられて眠って、気づいたら朝だった。 「わたし、今日から……佳祐の、彼女?」 熱いシャワーを浴びながらぽつりと呟く。言葉にすると、実感が湧いてくるような気がしたけど──全然、そうでもない。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1798人が本棚に入れています
本棚に追加