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これは君にあてる最後の手紙です。
君と出会ったのはとても寒い日のことですね。大雪に見舞われ電車が全面運行禁止になり何人もが立ち往生をしてしまった、そのなかにわたしと君が居た。手を擦り合わせてどうしたものかと困っているわたしに、君は「東京もこんな大雪が降るんですね」」と話しかけてくれたね。わたしはその時どう返事をしたのか覚えていないけれど、君がとても綺麗な人だと思ったことは覚えている。
君は大学の進学を機に東京へ出てきたばかりの初々しい女の子だった。一方わたしは荒波に揉まれ、疲弊したただのサラリーマン。未来に向けてきらきらしている君はとても眩しかった。
それから何度も会ったね。公園から喫茶店、初めて君の家に行った時には、緊張でどうにかなりそうだったよ。手土産に持って行ったスイーツを長い行列に並んで君のために買ったことも、今ではいい思い出だ。
毎日、今君は何をしているんだろうと考えては浮かれている私が居た。君のおかげでどん底だった人生が変わったんだ。そして、どん底に落とすのも君だった。君が同級生の男の子と歩いているのを見たときに、どれだけ私がショックだったか。君は友達だよ!と言っていてわたしは君を信じることにしたんだ。でもそれは嘘だったんだと知ってしまった。今もこの手紙を一緒に読んでいるんだろう。出会った当初はあんなにも綺麗だったのに、その男が隣に現れてから君は変わってしまった。
でもわたしは分かっている、君がわたしを裏切るようなことをする女の子じゃないって。だって私達はあんなにもお互いを思い合っていたんだから。
君が風邪をひいた時に差し入れたおかゆを手づかずに棄てたのだって、食欲がなかったからだってちゃんと分かっているし、何度も電話をしても出てくれないのも恥ずかしがり屋だからって分かってる。わたしも自身シャイだから電話にでてもらっても無言が続いたけれど、言いたいことはお互い分かっていたよ。
きっとその男に強要されているんだよね。大丈夫わたしがその男から君を守ってあげる。
これは君に送る最後の手紙になる。これからわたしは君のために刑務所に入ることになるだろう。それでもわたしは君を愛している。
2人が手紙を読み終えたと同時に、インターフォンの音が部屋に響いた。
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