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「俊哉君はあなたの気持ちが知りたくて、日記を読んだらしいの。本人はそう言っているけれど、調べて、無くなったものがあったら教えてね」
そういうと、瑠実の部屋から母は去って行き、瑠実は一人で取り残された。
開いた本を一冊ずつ閉じていったが、本がこんなに重いと感じたことはなかった。
日記はいつも、本棚の一番目につくところに置いてあり、背表紙にもdiaryと書いてあるから、こんなにも本を落とさなくてもいいはずだ。
瑠実は息苦しさを覚えながら、ある確信をもって、散らばった本の中からあの本を探した。
『ねっ、瑠実ちゃんは、大事なものをどこにしまう?私、お小遣いをどこにしまうか迷っているんだ。忘れたり、無くさなくて済むようなところがあったら教えて』
聞きたくない声が、耳にこだまする。
『参考にならないかもしれないけれど、私は大事なものを本棚に入れるの。お小遣いも一番大事な本に挟んであるのよ』
『へぇ~。それはとってもいい隠し場所ね』
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