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何だろうこれ?と瑠実は首を傾げた。何でこんなものをぶつけようとしたのか瑠実には不可解でしかなかった。
見られているのに気が付かないと思っていた瑠実が、急に振り向いて立ち上がったから、驚ろかされた腹いせだろうか?
それにしても、遊びの約束でも何でもない色の話や、天気の話に何の意味があるのだろう?
変な奴と瑠実は思った。
思ったけれど、俊哉が緑色が好きなことが頭に沁みついてしまった。
他の子と外で遊べない雨の日なんか大嫌いだったけれど、雨が降る度に、また窓の外に俊哉が立つのではないかと気になって、天気予報を調べたりもした。
あの日以来、雨が降っても俊哉が窓の外に立つことはなくなったが、以前は近所のみんなで一緒に遊んだのに、俊哉の態度が妙によそよそしくなっていって、瑠実は心の中でがっかりした。
たまに、俊哉がこちらを見るのとかち合って、瑠実が笑いかけようとすると、ふと目を逸らされる。つかみきれない相手の気持ちにイラついて、思わず舌を出して、あっかんべーをしたこともあった。
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