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「何これ?本が床に落ちてる」
一冊だけではなく、まるで本棚からごっそり落として、中を漁ったように沢山の本が重なったり、開かれたぺージを下に折れ曲がったりして、足の踏み場もないほどだ。
呆然と立ち尽くしていたら、母がやってきて、今朝は慌てていて、この窓の施錠を確認し忘れたのだと言い訳をした。
「誰かここに入ったの?どうして三崎のおばさんがあやまったの?」
瑠実が声を荒げると、母はまだリビングにいる三崎さんに気を使い、指を口元に当てて静かにするように注意をした。
「俊哉君が、あなたの部屋にいたの。今日はお母さん、用事があって早く帰ったのよ。そうしたら、あなたの部屋の窓を乗り越えて、逃げていく俊哉君を見つけて、おばさんに言いに行ったの」
「私の部屋から?これは俊哉君がやったっていうの?」
もう一度目を床に落とした瑠実は、散乱した本を信じられない思いで見つめた。
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