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第一章 受験? 受難?
田山莉央は、渋谷にあるA大学の受験会場にいた。
試験は既に始まっていて、試験会場の教室内はしーんと静まり返っている。
莉央は、英語の試験をしながら、ちらっと横を見た。そこは空席になっていた。
新堂遼 は、渋谷の駅前の歩道橋で道を間違え、試験開始時間に遅れてしまい、かなり焦って 走っていた。
外は、明け方から降り始めた雪が霙 となり、今では既に 雨になっていた。
「北海道人」の遼は、雪の中で傘をさす習慣がなく、明け方の始発の電車に乗るときには、確かに雪だったので、現在は、すっかり濡れネズミ状態である。
(全く、俺は何をやってるんだ。道順を確かめるために下見までしたのに..)
遼は、走りながら自分に毒づいていた。
(まだ間に合う。確か、20分までは遅刻が許されているはずだ)
試験開始から17分後、新堂遼は なんとか教室に滑り込んだ。
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