第三章 春休み~ ①

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 「千佳ったら..」 と、文面を見ながらクスクス笑いをしているところへ、 新着が入ってきた。 「あら?誰?」 --ルンルン-- (ルンルン?..あ) 新堂遼だ。電車の中で、「せっかく友達になったんだし..」という意味不明の言葉に言いくるめられてアドレスを交換したのだった。 >おかげさまで、無事自宅に帰りつくことができました。このご恩は一生忘れません  普通に聞けば、大袈裟な「ジョーク」にも聞こえるが、彼の場合は 心底そう思っていてもおかしくないかもしれない。筋金入りの方向音痴のようなので。 >無事帰宅、おめでとうございます。今度、なにか(おご)ってくださいね  合格の喜びが押し寄せてきているさ中であったことも手伝って、つい饒舌(じょうぜつ)な文章を送ってしまった。 (ありゃ、これはちょっと..かな?) 送ってすぐ後悔していると、 >それはもう、なんなら今週の金曜、どうです? と、返信がきた。 「え?」
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