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建物は三階建てで、それなりに古くはなってはいるが、オンボロというほどでもない。バブル期に建てられたことを表わすかのように 何やら意味のなさそうな飾りがあっちこっちについている。
入り口には大きな鉄(のようなもの)製のプレートがかかっており『メゾン・ド・シャンロジュマン』と書いてある。
入り口で管理をしている不動産会社の人が鍵を持って待っていてくれた。
「こんには。新堂です」
「どうもどうも、お部屋は3階の305号室です」
「はい、ありがとうございます」
一緒に、エレベーターに乗る。
「三階建てでエレベーターがあるんですねぇ」
「まあ、バブルの頃のものですからね」
「はあ」
三階でエレベーターを降り、何気なく周りを見回した。エレベーターホールに向かって4つの扉が見えている。
「こちらの部屋になります」
社員は、そのうちのひとつ「305」と書かれた部屋の鍵を開けて開いた。
「あれ?部屋は四つですよね?305号室なんですか?」
「ああ、建て主さんが、4を嫌ったんですよ。ホテルなんかでもありますよね」
「なるほど」
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