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更に、いや、ひょっとしたらそれよりも..驚くことがあった。
倫子が、「お前」呼ばわりに 特別な反応を見せないのである。
「当然でしょ。あんたみたいな方向音痴、私がついていかなきゃ 買い物なんてできないんだからね...で、要するに、二人分の『お礼』を今日、いっぺんにまとめちゃった、ということなのね?」
「そゆこと」
「まあ、いいわ、ね?莉央ちゃん...私も名前で呼んでね」
「あ、はい。いいです」
整理すると...
合格発表の日、遼は予備校の寮に帰ってから、お礼のLINEを莉央に送ろうとスマホを出した。
スマホを見たとき、たまたま、倫子の名前を先に見つけて、「そういえば..」と倫子に「買い物に付き合って」とお願いをした。
「いいけど、なんか奢ってよ」という返事をもらい、了解して、待ち合わせ場所を「ハチ公の尻尾の前」と決めた。
その後、莉央にお礼のLINEをした。すると、莉央から「なんか奢ってね」という倫子と同じような返事が来た。
即座に、これは一緒に奢っちゃおうと、「金曜日に..」というLINEを送った。
と、なる。
「デートだ!」と浮かれていた(香のよる後日談)のは、莉央だけだった...のではないのかもしれない。倫子だって莉央が来ることは知らなかったのだから...
ただ、少なくとも、遼にはそのつもりはなかった、ということははっきりしている。
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