春休み~③

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 更に、いや、ひょっとしたらそれよりも..驚くことがあった。 倫子(のりこ)が、「お前」呼ばわりに 特別な反応を見せないのである。 「当然でしょ。あんたみたいな方向音痴、私がついていかなきゃ 買い物なんてできないんだからね...で、要するに、二人分の『お礼』を今日、いっぺんにまとめちゃった、ということなのね?」 「そゆこと」 「まあ、いいわ、ね?莉央ちゃん...私も名前で呼んでね」 「あ、はい。いいです」  整理すると...  合格発表の日、遼は予備校の寮に帰ってから、お礼のLINEを莉央に送ろうとスマホを出した。 スマホを見たとき、たまたま、倫子の名前を先に見つけて、「そういえば..」と倫子に「買い物に付き合って」とお願いをした。 「いいけど、なんか奢ってよ」という返事をもらい、了解して、待ち合わせ場所を「ハチ公の尻尾の前」と決めた。  その後、莉央にお礼のLINEをした。すると、莉央から「なんか奢ってね」という倫子と同じような返事が来た。 即座に、これは一緒に奢っちゃおうと、「金曜日に..」というLINEを送った。 と、なる。 「デートだ!」と浮かれていた(香のよる後日談)のは、莉央だけだった...のではないのかもしれない。倫子だって莉央が来ることは知らなかったのだから... ただ、少なくとも、遼にはそのつもりはなかった、ということははっきりしている。
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