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(あれ?)
...よく考えてみると、どこに行くのか、わかってないことに気づいた。
「あの、それでどこ行くの?」
「原宿」
遼の返事に、莉央は一瞬、
「え?」
「裏原に住むんだって、やあねぇ」
倫子が言う。何が「やあ 」なのかは不明だが...
「へえ、裏原..なんか、かっこいいね。でも、やっぱり、やあねぇ」
「でしょう?」
「なんだよ。何がイヤなんだよ。俺が住むんだぞ」
「だから、イヤなんでしょ」
「家賃が安くて交通環境も良い、中々の穴場..なんだぞ」
「そういうことじゃないんだよ、ね?莉央ちゃん」
「うん、私もそう思います」
「なんだよ」
遼の口からは、もう「なんだよ」しか出てこなくなりつつある。
女子ふたりを相手にして、言い合いをしても勝てる道理はない。
遼は、「なんだよ..交通の便がいいんだぞ..」とか、なんとか、ブツブツ言いながらも黙った。
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