春休み~③

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 「へえ、かっこいいじゃない。ノスタルジックな雰囲気がいいわね」 倫子が、遼の新たな住まい、『メゾン・ド・シャンロジュマン』の入り口で、外観を見上げながら言った。 「そうですね。年季が入った感じが素敵かも」 莉央も 言った。 「いいよ。無理に()めなくても。言われてる俺が切なくなる」 「いいのよ。これくらいノスタルジックなほうが、あんたには向いてるわよ」 「うんうん、賛成」 「益々切なくなるだろう...でも、三階建てなのにエレベーターがあるんだぞ」 「それは凄い」 「エレベーターが自慢なのねぇ」 そんな会話をしながらエレベーターに乗り、部屋まで来た。  莉央は、ちょっとドキドキしたが、案外落ち着いていられて良かったと胸をなでおろしていた。ちらっと倫子を見ると、平気な顔をしているが、少し顔が紅潮しているように見えた。 (あら?倫子さん、あんまり遼くんの部屋とか行ったことないのかな?)
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