春休み~③

20/22
前へ
/290ページ
次へ
 部屋に戻ると、遼は、買ってきたカラーボックスを組み立てているところだった。  既に、ピンクのカーテンが窓にかかっていた。 「案外、普通だったね、カーテン」 倫子は、やっぱり気にしていたのか、ほっとした感じで言った。 「ええ、ホントに、ここにあのグリーンの絨毯をひくと...もっとしっくりしますね」 「おお、帰ってきたか。遅いから、道に迷ったかと思ったよ」 「あんたにそんな心配されたくない」 「うんうん」 ふたりは笑いながら、買ってきたものを冷蔵庫にしまう。 「お、できた」 「ちょうどいいわ、一服したら? ジュースとか色々買ってきたよ。あ、お金頂戴ね」 「え?お金?」 「当然でしょ」 「そうか」 「3000円ね」 と言って倫子はレシートを渡す。 「3000円?!いったい何を買ったんだ?...いや、2865円だろ」 レシートを見ながら遼は訂正を試みている。 「さん・ぜん・えん」 「はい」 (こういうのを『鶴の一声』っていうんだわ、きっと) 莉央は、変に感心してしまった。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加