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部屋に戻ると、遼は、買ってきたカラーボックスを組み立てているところだった。
既に、ピンクのカーテンが窓にかかっていた。
「案外、普通だったね、カーテン」
倫子は、やっぱり気にしていたのか、ほっとした感じで言った。
「ええ、ホントに、ここにあのグリーンの絨毯をひくと...もっとしっくりしますね」
「おお、帰ってきたか。遅いから、道に迷ったかと思ったよ」
「あんたにそんな心配されたくない」
「うんうん」
ふたりは笑いながら、買ってきたものを冷蔵庫にしまう。
「お、できた」
「ちょうどいいわ、一服したら? ジュースとか色々買ってきたよ。あ、お金頂戴ね」
「え?お金?」
「当然でしょ」
「そうか」
「3000円ね」
と言って倫子はレシートを渡す。
「3000円?!いったい何を買ったんだ?...いや、2865円だろ」
レシートを見ながら遼は訂正を試みている。
「さん・ぜん・えん」
「はい」
(こういうのを『鶴の一声』っていうんだわ、きっと)
莉央は、変に感心してしまった。
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