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「お前は何も悪くない。悪いのは全部悪戯した奴だ。お前の作文は読ませてもらった。本当によく出来ていたよ。だから、あまり泣くな。悲しむな。それを望んでる奴はどこにも居ない。作文手伝った俺から言わせてもらえば、笑っていて欲しい。俺はお前の作文に惹かれたファンみたいなもんだと思っておいてくれ」
つらつらと、彼女の目を落とす紙の内容をそのまま伝えた。
「これは…貴方が?」
飲むヨーグルトに口を付け、ながらで頷いた。
「お前の邪魔しようとしてる奴に屈してやるなよ。俺は……あー」
そこから先は恥ずかしく、口にすることを辞めた。
彼女は再び目に涙を溜めていた。
その瞳に吸い込まれそうになる。
どこかでそんな情景をみたことがーー
首を振り、気を確かに持つ。
「とにかく、あんまし無理だけはしないようにな。三戸リサさん」
名前は掲示板の作文で確認した。
「えっと……」
頭から爪先まで見て、全く名前に行き着かないようで、首を傾げていた。
「くく、俺の名前は工藤悟だ。二年の教室に居るから、困ったらいつでも頼ってこい。じゃあな」
空にしたヨーグルトの容器を手に席を立つと、後ろも見ずに教室へと戻った。
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