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他に何かないかと、ダンボールの中を探っていくと、白い封筒を見つけた。色はまだ落ちていない。
「あれ? こんなの渡したっけ?」
そう不思議に思いながらも、封筒を開ける。
中身を取り出すと、手紙が二通入っていた。
しかも、その手紙の宛名がわたしになっている。また、驚くことにその字は、父の字だった。
わたしは、ベッドに腰をかけて手紙を読んだ。
『春田サヤカさんへ
この手紙を見つけということは、私はもうこの世から去っている時でしょう。この手紙を書いている時期は、まだまだ暑い夏の日です。ちなみに、パパの頭はハゲているから暑さなんてヘッチャラだ! って、そんな事はいいとして。手紙なんて書くの初めてだから、なんて書こうかな。そうだ、サヤカ。パパと過ごした時間は楽しかったですか? パパなりにサヤカに楽しんだり、喜んだりして欲しいから色んな所に連れて行きましたけど、どうでしたか? 楽しめましたか? 楽しんで貰えたらパパ嬉しいな。
あ、話す内容なくなっちゃった。どしよ……。んー。どうしようか。あ、そうだ! 今この場をかりて書くね』
わたしは、次の言葉に涙が溢れ出した。
『生きてください。とにかく、一生懸命生きてください。この先の人生、楽しい時間や苦しい時間や、突飛のない時間がやって来るかもしれない。だけど、どんな状況になっても懸命に生きてください。生きていて欲しい。長生きしてください。パパの時間は、もうすぐで終わりを迎えます。パパなりにサヤカの事を愛して、育ててきたつもりです。それは、ママも同じ気持ちだと思います。サヤカは、パパやママにとってかけがえのない時間をくれました。かけがえのない宝をくれました。サヤカが卒業する姿を見る事は出来ないけど、パパは、サヤカが中学に入学した時の姿は忘れません。
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