90人が本棚に入れています
本棚に追加
/253ページ
「秦くんとはなにもないよ」
「なんもなかった?」
「うん、塁くんも来た」
「え、塁さん.......?」
瑛梨奈から出た名前にやはり別れたなんて違ったのではないかと不安になってしまう。
「あたし、塁くんとは別れたんだよ」
「知ってる。聞いてた秦さん伝いの八幡さんから」
「.......そっか」
別れてたという情報はどうやら嘘ではなかったらしい。
「でも、すぐに言ってくれなかったのはなんで?俺となんて付き合う気ないからか?」
「.......ワカが連絡取りずらくしたじゃん」
「え?」
「連絡してもしても返してくれないから.......あたし、もうないんだなぁーって思って連絡するの怖くなったの」
「.......そっか」
俺は「付き合うまでは連絡を取らない」という言葉でちゃんと伝わっているつもりでいた。
しかし人の考えていることなんて本人以外には案外伝わらないものなのだろう。
「ところで塁さんと会ってどうしたの?」
「告白はされたよ」
「.......っ、まじか」
その言葉で俺はまた一気に不安に押し返される。
こんなに俺のことを一喜一憂させられるのはどこを探しても瑛梨奈しかいない。
最初のコメントを投稿しよう!