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「あおい」の実体化作戦は、以下のようなものだった。
複素平面(横軸を実数、縦軸を虚数とする平面)上で、ある複素数を実数軸に対称に鏡像変換したものを、その複素数の共役複素数と呼ぶ。複素数と共役複素数の積は絶対値の二乗となり、実数だ。これが今日学校で習った内容。
そこで、「彼女」が今存在しているイマジナリー・ワールドに鏡を持ってくる。鏡に映った「彼女」は複素共役だから、鏡に飛び込んで掛け算すればイマジナリーな存在である彼女もリアルに変わるはず。ただし二乗はされてるけど。
うーん。なんか、わかったような、わからんような……
「で、どうやって鏡をイマジナリー・ワールドに持って行けばいいんだ?」
僕が質問すると、彼女は、やれやれ、とでも言いたげに肩をすくめる。
『決まってるだろ? そこの姿見でいいから、それを見てあんたが脳内でそれを想像すればいいんだよ。イマジナリーなんだから』
「そんなんでいいのかよ……」
ますますわからん。
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