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ザッ……ザッ……ザッ……
口から白い息が漏れる。足首まで積もった真っ白な雪を踏みしめ、一生懸命進む。後ろを振り返ると、小さい足跡が交互に続いている。口元に手を当て、叫ぶ。
「マーーシューーッ」
田んぼだらけの田舎に響き渡ったその声は、虚しく消えていった。
マシューがいなくなった。わたしの手のひらより小さくてかわいいマシューが。
一緒に遊ぼうと思って、畳にそっと放した後、台所に麦茶を飲みに行った。すぐに居間に戻ったけど、そこにマシューの姿は無くて、代わりに障子が少し開いていた。
マシューを探し始めてからかれこれ二時間。いくら手袋とマフラーを着けていると言っても、十二月半ばの寒さは厳しい。
「マーーシューーッ、どこーー」
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