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ザッ……ザッ……ザッ……
「あっ」
ドサッと雪に倒れ込む。雪の中の何かにつまづいたようだ。視界がぼやける。マシューはこれだけ探しても見つからない……。自分の小さな手のひらを見つめてぎゅつと握りしめる。ほっぺたに当たる冷たい雪の感触が鋭い痛みに変わっていく。
(マシューは私にとって《ペット》じゃなく、《家族》だった。そんなマシューがいなくなるなんて、絶対に考えたくない……)
そう思いながら、足に力を入れて立ち上がった。歩きだそうと右足を一歩踏み出した時、
「なぎちゃ~ん」
「なーぎー」
前方から大きな声が聞こえてくる。目をこらすと、二つの影がこっちに走ってくるのが見えた。その姿に向かって大きく手を振り、わたしも駆け出す。
「どうしたの、りん、しゅん?」
りんとしゅんはわたしの大事なトモダチで、一緒にマシューのことを探してくれている。わたしが一人でマシューを探している時に、雪遊びをやめてまで声をかけてくれた。りんは何かを包むように両手を出すと、ゆっくりと手を開いた。
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