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「じゃあ、そこに連れてっておくれよ」
「でも、これから遊ぶんだよ?」
「アノコを探さなくても良いのかい?」
「構わないよ。それに、そこにあの子はいないよ」
「何でいないって言えるんだい?」
「いないからさ」
銀次は少し残念なため息を吐いた。
お腹が空いていたので、ボクの家で何かもらおうと思っていたからだ。
ただ、銀次はアノコが見つかれば村人達から何か貰えるのではと思いついて、ボクに聞いた。
「じゃあ、アノコはどこにいるんだい?」
「知らないよ」
「でも、ボクにはアノコのいない場所がわかるんだろう?」
「うん」
「じゃあ、いない場所じゃない場所にアノコはいるんじゃないのかな?」
ボクは驚いた様子で目を開いた。
「本当だ。じゃあ、あの子はここにいるんだ」
「ここって、ここのどこだい?」
「ここはここさ」
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