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銀次はキョロキョロと周りを見たが人影はなく、どうしたものかとボクを見る。
ボクも銀次を見つめていて、二人の目が合った。
「ほら、いたよ」
ボクが銀次の目に、銀次の瞳に映る少年に手を伸ばす。
銀次はその手から逃れようとしたが、身体が動かない。
ボクの指先が、瞳の中の少年の指先と触れ合いそうになった時、銀次の瞳からアノコは飛び出した。
キャハハとした笑い声。「早く遊ぼうよ」というボクなのか、アノコなのか、わからない言葉も聞こえたが、ボクもアノコもどこにもいない。
いや、ボクとアノコが消えたわけではないと銀次は気がついた。
銀次の方があの場から消えたのだ。
「戻ってきた」
「戻ってきたぞ」
縛り付けられたはずの巨木の前に銀次は突っ立っており、周囲には銀次を縛り付けたはずの村人達がいる。
「主神様から逃れなさった」
「この者をもう一度捧げよ」
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