3

5/6
前へ
/23ページ
次へ
言われて気がつく。 自分が涙を流していることに。 でも、そんなこと、どうでもよかった。 「意識がなくたって、声を聞いたら、絶対わかる。 自分の子どもの声なんだから。」 「何でそんなこと、わかるんですか。 ……それに、ずっと避けて、無視してきた息子なんて、かわいくもなんともないでしょ。」 ウサギくんは、目をキョトキョトさせながら、そんなことを言う。 バカだ。 本当にバカだ。 「私は結婚もしてないし、子どももいない。 でも、母親世代の女だからわかる。 ……バカな息子ほどかわいい。 ウサギくんが避けてたって、お母さんの気持ちは自由だよ。 どんなに嫌われていたって、好きでいるのはこっちの勝手でしょ。 私がウサギくんの息子だったら、ウサギくんを嫌ったりしない。 隙をみては、接触を持とうとするよ。」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加