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言われて気がつく。
自分が涙を流していることに。
でも、そんなこと、どうでもよかった。
「意識がなくたって、声を聞いたら、絶対わかる。
自分の子どもの声なんだから。」
「何でそんなこと、わかるんですか。
……それに、ずっと避けて、無視してきた息子なんて、かわいくもなんともないでしょ。」
ウサギくんは、目をキョトキョトさせながら、そんなことを言う。
バカだ。
本当にバカだ。
「私は結婚もしてないし、子どももいない。
でも、母親世代の女だからわかる。
……バカな息子ほどかわいい。
ウサギくんが避けてたって、お母さんの気持ちは自由だよ。
どんなに嫌われていたって、好きでいるのはこっちの勝手でしょ。
私がウサギくんの息子だったら、ウサギくんを嫌ったりしない。
隙をみては、接触を持とうとするよ。」
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