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「月のお姉さん、勝負です。」 なぜか、ブランコを漕ぐ勝負を挑まれた。 成り行き上、ブランコを漕ぎ始める。 後ろに落ちるときの何とも言えないぞわっとした感覚が、子どもの頃とちっとも変わらない。 「わぁ! 怖いんだけど…。」 そんなことを叫びながら、力の入れ具合が安定しない漕ぎ方をしている私とは違い、ウサギくんは、黙々とブランコを漕いでいた。 ……差は歴然だ。 ウサギくんは限界まで漕いだ後、タイミングを図って、綺麗にブランコから飛び降りた。 「俺の勝ちです。」 ドヤ顔のウサギくんが振り返る。 「俺の勝ちなんで、明日もここに来てくださいね。」 にかっと、笑うとウサギくんは、脱兎の如く駆け出し、行ってしまった。
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