百億分の一の悲劇

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とある家庭にて 「あのね、人が死んだら記憶を消してくれるの。みんなの。昔は誰かが死んだら大勢の人が悲しい思いをしてたの。お葬式という儀式をやって、死んだ人が持ってたお金や品物を家族の者で分配する、つまり遺産相続も自分達で相談して決めてたの。だけど今はマザーコンピューターが全てやってくれるの。死亡処理システムといって、他には、死んだ人をどこかへ連れていって処理して、持ってた物も色んな形で処分したり残したりして、ずっといなかったことにしてくれるの」 「うーんよくわかんないけど」 「じゃあ明日お姉ちゃんがいなくなったらどうなる?」 「ええいやあそんなの」 「でしょ?そういう悲劇でつらい思いをしなくてもいいようになったのよ」 「そうね。今はいい時代になったね」
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