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縁結び神社でのこと
「はぁぁ~っ、つまんねぇー...」
俺は賽銭箱のある御堂の屋根に腰を掛けてうーんと背伸びをした。
どうも、俺神様!縁結びのご利益があるとか何とかで有名な神社のな!
...って言ってもまだ完全な神じゃなくて見習いだけど。
父ちゃんがすごーいフェロモン?持ってるらしくて、しかもちょーお人好しだから参拝客の10人に3人はカップル成立するらしい。結構すごい確率だぞ?
お前もそろそろ1人や2人カップル成立させてみなさい、って父ちゃんが言うけど...
まだまだ父ちゃんは全然わかいし(神の寿命は500年くらいだからな)、まだ俺がやる必要はないだろって思ってる。
だから俺はね......
「あっ、カワイイ子はっけーん!」
お賽銭にお金を入れて手をぱちぱちし始めた雰囲気ふわふわで清楚そうな女の子!アプローチするしかないでしょ!
俺は屋根からふわっと飛び降りて、お祈りをしている女の子の背後にそっと立つ。
見えるようになれーって思ったら、この子にだけ見えるようになるんだぜ。
(今年こそいい人と巡り会えますように...)
可愛いお願い事するじゃん!
お祈りが終わった女の子はくるっと振り返る。もちろんそこには俺がいて。
「えっ...!?」
「こんにちはぁ、俺と仲良くしよ~?」
おっきな目を瞬かせて、いつからここにいたのかって言いたげに焦ってる。かわいいなぁ。
はやく食っちゃお......
「おい!弟よ、また誑かしているのか!」
「げっ、やばッ...」
声をかけてきたのは、後ろから鬼の形相でやってきた俺のにーちゃん。まじで神とは思えねぇよ...
「ご、ごめん!また今度誘うから!!」
俺はにーちゃんから逃げるために全力で走り出す。女の子から見えない位置になったら見える化を解除して屋根に跳躍した。
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