恋の神様、やってます

望まない恋愛

しかし、ここ最近あの縁結び神社に通い始めた。

何故なら、周囲にいぶかしんだ目で見られるようになったからだ。

俺は年齢にしては良いマンションに住んでいるつもりだが、この間エレベーターを待つ婦人達の話が小耳に入ってしまった。

『お宅の下の階に住む男性とてもイケメンよね、橘柳さん、だっけ？』

『そうなの、そう思うでしょ？幾つなのかしらね、とても若く見えるのにここに住めるなんて、きっと大した才能の持ち主なんだわ』

『でも私、彼女の一人連れてるとこ見たことないのよ、あの見た目で経済力もあれば周囲の女性が気にしないはずないのに...』

『もしかして......特殊な性癖の持ち主、とか？』

『やだ奥さん！でも、あり得そうでちょっと否定できないわ...』

俺はエレベーターに向かう自動ドアの近くで聞いていたのだが、出ていくとあからさまに気まずそうな顔をされ、そそくさとエレベーターに乗ってしまった。

これは学校の職員にも思われているだろうし、それでマイナス評価がつくのは避けたい。

とは言え女性と付き合うのも今は面倒だ。

だから、体裁として、自宅からも学校からも近所にあるあの縁結び神社に行くことにしたのだ。