望まない恋愛

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「まずはいつも通り論点の把握から。第一段落 から頻出語句を見たところ今回の論点は近代国家の在り方であり──」 精神論は最も嫌いだ。現代文は解き方を身につけ、論理的に考えられればそれで事が済む。 すべて論理で解決できるところがとても俺に合った。 問題文の解釈を終え、問題に入る。自分が答えた選択肢で手をあげさせ、そして生徒に答えさせるのだ。 「じゃあ佐藤君、その答えを選んだ理由を述べて」 彼は見た目はチャラそうなのに比較的真面目で、俺の質問には食いつくように答えた。 「まず問題文から説明=イイカエって判断して、傍線部の─」 きちんと自分の指導した通りに解説を始める彼を評価しながら、なぜか頭にさっきの謎の少年が浮かんだ。 (なんだ?チャラそうなのが似てるから?) 確かにアイツは明るい栗色をしたふわっふわの癖っ毛で、整った顔に比例して自分に自信も持っていそうだったが。 佐藤を見て連想したのだろうか。 いや、しかし一緒にしたら彼に失礼だ。彼は見た目に反して真面目なのだから。 ...ちなみに今の「いや」は反語ではない。
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