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私がミニマリストを志したのは10日ほど前のことだ。
子供の頃から、物を捨てるのに抵抗があり、嫌な思い出や記憶さえも忘れることができないほど整理が下手だ。
金曜日の仕事帰り、古本屋にふと立ち寄った際に目に入った本を手に取った。その本のシンプルかつ芯のある表紙に惹かれた。幅は薄く白地の背景に「解放」と赤い縁で彩られた字、表紙の真ん中には黒い革製の旅行用カバンが堂々と立っている。「解放」と言う名のタイトルのその本は、文字を見るだけだと宗教臭く説教っぽいことが書いているかと思ったが、人生を揺るがすほど重要になることはその時は知らなかった。
内容は本の表紙のようにシンプルだった。多くを持つことにより物事は複雑になり効率が悪くなる、一方持つものが少ないと集中ができ豊かな人生を歩めるといもの。最初に目次を見たときはイカサマ臭いなと思ったが、気がつくと本は手元にあった。
夕食後に一気に本を読み終えた私は、半信半疑でその夜に、物で溢れていた机を片付けた。
驚いたことにその日以降、机での読書や仕事がすこぶる捗るようになった。周りに物がなくなったことで気が散らず、一つのことに対して集中することができるようになった。まさに本に書いてある通りだった。
私はその時から必要なものだけを持つシンプルな生き方に魅了された。人生には多くの物は必要ない、必要なものだけで事足りるのだ。
それ以降、服も靴も使わないものはリサイクルに出した。自分の使わなくなった服が、どこか見知らぬ遠い国で使われるのだと考えると、善い行いをしているように感じた。
自分の寄付によって、裸足でぬかるんだ地面を歩いている子が一人でも救われると思うと、空虚な自分がマシな存在に思えてきた。
そうした気持ちで洋服を寄付するとクローゼットの中身は数える程しか残らなかった。
どれだけ余計なものがあったんだろうと広くなったクローゼットを見て首を横に振った。
いつも毎朝何を切るか迷っていた私が、洋服をリサイクルに出した翌朝から着るものを考える必要がなくなった。洋服の種類が少なくなったのと、シンプルなデザインの洋服しか残らなかったため、どれを着てもそれなりに格好がつくということがわかった。不思議なことに職場で着ている服を褒められるようになったのだ、以前と同じ物を着ているのにも関わらず。
シンプルに生きるのは、無駄な時間を減らし有益なことに時間を回すためのプロセスなんだと気が付いた。それ以降、私は余計なものはどんどん人生から排除していった。
自分との約束を守ると決めた私は、早速次の日から実行した
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