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私はお風呂を上がると、自室に戻った。
二学期に入って、九月ももうすぐ終わろうとしている。
窓際にベッドがある。私はバスタオルを首にかけたまま、パジャマ姿でベッドに座った。
窓には黄色のカーテンがかかっていて、遮光カーテンじゃないその黄色いカーテンから、光が漏れていた。
私は濡れた髪をタオルで拭きながら、カーテンを開けた。
……月が見える。
今日はどうやら満月のようだった。真ん丸で黒い空に浮かぶ黄色い月。月は夜になると、こんなにも自分がここにいるんだと主張するんだな、と思った。
ふと、また先生のことを思い出した。
先生は太陽の光を浴びていると、その線の細い身体とシャープな顔立ちに陰影を付ける。
どこか太陽の光は先生には似合わない、そんな気がしていた。
月をまたじっと見つめると、月は暗闇だから明るく見えるだけでなく、優しい光を放っているように思えた。
どちらかと云えば、先生は月の方がよく似合うような気がした。
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