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私は月の明かりが差し込むように、カーテンを開けたまま、スクールバッグから古文のノートを取り出した。
そこには、私の文字以外にも先生の文字が赤ペンで書かれていた。
その文字をすっと指でなぞる。
それだけでなんだか先生の温度に触れた気がした。
だけど、先生はなんであんなに悲しそうな顔をしたのだろう。
苦笑するならまだ分かる。だけど、先生は悲しそうな、切なそうな顔をした。
今にも泣きそうな顔をして、私のことを見なかった。
私はそんなに先生を苦しませたのだろうか。携帯番号を教えて欲しいと言っただけなのに、なにが先生をそこまで苦しめたのだろう。
大人だったら、私の好意にももっとうまく対処ができるような気もするのに。
私は、ノートを見ていると、またズキンと胸が痛んだ。
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