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封筒にはさみを入れて
丁寧に中を覗くと
綺麗に折り畳まれた便箋が一枚
君らしいな、と
思いながら取り出すと
そこからかすかに
君のつけていた香水の
香りがした
手紙には忘れてほしいと
自分のことなどなかったことにして欲しいと
そういったことが書かれていたけれど
それならどうして
それからどうして
こんな風に抜け殻を残そうとしたの
形あるものを残していくのは
忘れてほしくないからじゃないのかい
君は昔から
本音を隠すところがあって
僕は昔から
真実から逃げる癖があった
君からの手紙をこれだけ時が経ってからやっと
開けることができたのは
あの時の僕のまわりに
はさみがなかったからなんだよ
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