1.猫を愛する男と猫に愛される男

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温めた牛乳をマグカップに注いでテーブルに置き、ノアールにもお裾分けしていると奴が戻ってきた。 「ミルクそこに――おまえ服、それか!?」 「うん。なんで?」 古民家なめとんのか。 真冬にTシャツとパンツで寝たら凍死するぞ。 って怒鳴るのも疲れるので、俺は黙って自分の部屋からスウェットを取ってきた。 「これ着て寝ろ。俺には少しデカイ位だから入るだろ」 「え、アランの貸してくれるの?」 「ああ」 奴は素直にその場でスウェットを着た。 うわー、Lサイズでそんなに手足突き出るのか。 「おまえ、身長何センチ?」 「186。兄貴もデカイから追いつきたくて毎日牛乳飲んで飛び跳ねてたら追い抜いちゃったんだよね。アランは……」 急に距離を縮められて後ろに逃げたら壁にぶつかった。奴は構わず俺の頭の上に手を置いて唸った。 「うーん、178? 結構デカイじゃん」 見下ろして言うな。腹立つな、こいつ。 奴は俺の気も知らずにテーブルに戻って俺が温めたミルクを飲み干すと、マグカップを手にシンクに向かった。 そして意外に丁寧にカップを洗うと、俺に向かって頭を下げた。
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