最終章 猫と小鳥と恋人たち

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ポタージュ! 見えない頭を見上げようとすると、頭が軽くなった。そしてポタージュは、なんとノアールの背中に舞い降りて首を傾げた。 タダイマ? ノアールは振り向いて――頷いた!? 「ああ、カラスからこの子を守ったんだね。偉いよ、ノアール」 目の前にしゃがみ込んで慧治が褒めると、大したことねーよと言うように短くニャアと鳴いてノアールは歩き始めた。家に帰るみたいだ。 あ、そうだ。 「待って、ノアール」 ポタージュを背中に乗せたまま振り向いたノアールの写真を撮って、初めてあのアカウントに写真をアップした。そしてタツヤさんにダイレクトメッセージを送った。 『ご無沙汰しています。その節はお世話になりました。引っ越しされたんですね。ポタージュを預かっています。連絡ください』 電話番号も添えたら、すぐに掛かって来た。 『久しぶり。元気?』 自分は元気じゃなさそうな静かな声。でもタツヤさんはいつもこうだった。ハイテンションで話してる所なんて見たことない。 「お久しぶりです。あの、ポタージュを――」 『ありがとう。また偽物の空の中に閉じ込められるより一瞬でも本物の空の下で生きたかったのかなと思ってたけど、君が恋しかったんだね』
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