最終章 猫と小鳥と恋人たち

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なんて返事したらいいのかわからなくて黙っていると、タツヤさんは続けた。 『悪いけど、しばらく預かっててくれないかな。鳥カゴは――』 「あ、あのそれも預かってます」 『そうか。じゃあお願い出来るかな。すぐには迎えに行けない』 「わかりました。あの引っ越し先って――」 『また連絡するよ。じゃあね』 切れちゃった。 まあ、引っ越し作業で忙しいよな……。 でもその後1か月経ってもタツヤさんから連絡はなかった。あのSNSにもあれ以来新しい写真はアップされていない。 ポタージュは元気でウチの猫と仲良く暮らしてますって写真を上げてメッセージを送ってみたけれど、それにも反応なし。 それで益々気になって電話を掛けてみたら、現在使われてませんって音声が流れた。 なんで? ポタージュいらないの? 俺は? 人のこと言えないけど―― 大好きと大嫌いを結ぶ円の底、無関心の中に沈んでしまったのかな。
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