1.猫を愛する男と猫に愛される男

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焦れて一歩踏み出したら、キジ白くんはサッと身を翻し植込みの奥から塀を越えて行ってしまった。 あー失敗した。俺も帰るかと立ち上がって歩き出すと、すぐに声を掛けられた。 「いいぜ、遊んでやるよ」 振り向くと、普通のオッサンが立っていた。 いや、本人はオッサンだと思ってないかもしれない。でも軽く5歳は年上に見える。 「うわっ、君イケメンだね。いや後ろから見てわかってたけど、想像以上。びっくりした」 は? 何言ってんだこいつ。 当然無視して歩き出すと、追いかけてきた。 「おい待てよ。誘ったのそっちだろ?」 は? 遊ばないって言ったこと? 「いや、さっき声掛けた相手猫ですから」 「へえ、君はタチなのか。意外だな。ネコでもいいよ」 はあ? 本当に何言ってんだこいつ。 とにかく逃げようと歩き出したら、肩をつかまれた。 「いいじゃん、やろうよ。君もしたくて来たんだろ? なあ、暖めてくれよ」 「やっめろ、何の話だ、放せ!」 なんだこいつ酔ってるのか? 顔近づけるな、キモイ、キモイ、キモイ! 「お待たせー」
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