1.猫を愛する男と猫に愛される男

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「夢見てた方が幸せだぜ」 可愛いのは顔だけだ。弟の方が良かったと思っていたけれど、こいつと話してると弟は弟でウザそうだ。 「おまえ、時間大丈夫なのか? まだそんなに降ってないけど、交通情報確認したか?」 「うん。まあここからだったら大丈夫じゃない? なんなら歩いてでも行けるし」 うん? 歩いて行ける大学ってあの超難関大学か!? 口から出そうになった大学名を味噌汁と一緒に飲み込んだ。 身長186の9頭身、イケメン、料理上手、その上頭もいいだと? そんなの許せるかと思いながらも箸が止まらずにいると、奴は隣の席に皿を置いてこちらにやって来た。 「いただきます。うん、美味しい。マコさん、いい食材揃えてるなあ」 だよな。料理が美味いのは、こいつの腕より食材のお陰だ。 まあでも立派なもんか。高校生だもんな。 「ご馳走様。片付けは俺がやるから勉強しろよ。おまえ昨日寝落ちしただろ」 「あ、やっぱり本閉じて電気消してくれたんだ。ありがとう。アランもまだ出掛けなくて大丈夫なの?」 「ああ。コーヒー飲むか?」 「うん、飲む」 出たよ、爽やか笑顔。 遠慮無く差し出された空になった皿を受け取ると、奴はテーブル席に移動した。窓辺で雪を見ていたノアールは、早速移動して奴の膝に飛び乗った。
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