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「夢見てた方が幸せだぜ」
可愛いのは顔だけだ。弟の方が良かったと思っていたけれど、こいつと話してると弟は弟でウザそうだ。
「おまえ、時間大丈夫なのか? まだそんなに降ってないけど、交通情報確認したか?」
「うん。まあここからだったら大丈夫じゃない? なんなら歩いてでも行けるし」
うん? 歩いて行ける大学ってあの超難関大学か!?
口から出そうになった大学名を味噌汁と一緒に飲み込んだ。
身長186の9頭身、イケメン、料理上手、その上頭もいいだと?
そんなの許せるかと思いながらも箸が止まらずにいると、奴は隣の席に皿を置いてこちらにやって来た。
「いただきます。うん、美味しい。マコさん、いい食材揃えてるなあ」
だよな。料理が美味いのは、こいつの腕より食材のお陰だ。
まあでも立派なもんか。高校生だもんな。
「ご馳走様。片付けは俺がやるから勉強しろよ。おまえ昨日寝落ちしただろ」
「あ、やっぱり本閉じて電気消してくれたんだ。ありがとう。アランもまだ出掛けなくて大丈夫なの?」
「ああ。コーヒー飲むか?」
「うん、飲む」
出たよ、爽やか笑顔。
遠慮無く差し出された空になった皿を受け取ると、奴はテーブル席に移動した。窓辺で雪を見ていたノアールは、早速移動して奴の膝に飛び乗った。
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