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マコさんに教えて貰った通りにコーヒーを入れて持って行くと、奴は文系だった俺には全く理解出来ない化学式を見詰めていた。
「ありがとう……あ、美味しい」
真剣な横顔から振り向いて控えめな笑顔。
仕事の出来る大人の男性に見えてドキッとしてしまった。
いやいや、こいつまだ高校生だって。
「ノアールも何か飲む?」
聞いてみたけど返事なし。
ダーリンに夢中だからお構いなくってか。
仕方なく独りカウンターに戻ってゆっくりコーヒーを飲んでいると、奴が飲み終えたカップを手に立ち上がった。
「ああ、いいよ。俺が片付ける」
「ありがとう、ご馳走様」
キッチンを片付けてテレビをつけてボーッとしていると、奴は支度をして戻って来た。
「もう行くのか?」
「うん。そろそろ開門するから行くよ」
「行ってくるね、ノアール」
「気をつけてな」
さて、俺も支度するかと背を向けた時、奴が叫んだ。
「あー傘!」
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