1.猫を愛する男と猫に愛される男

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は? 振り返ると奴は子犬のような目で俺を見ていた。 「公園に置いてきちゃった」 マジか。それ俺のせい? 「いいよ、俺の貸してやる」 「いいの? でもアランはどうするの?」 「お客さんの忘れ物を借りるよ。おまえの傘ってどんなの?」 「え? ああ探しに行ってくれなくていいよ。アランはもうあの公園行っちゃダメだからね?」 また偉そうにと思ったけど、面倒だから逆らわないことにした。 「はいはい、ほら持ってけ」 「ありがとう。大事に使うね」 「やるとは言ってねーぞ?」 「うん。だから大事に使って返すね。行ってきます」 「ああ」 それだけ言ってドアを閉めようとしたら、ノアールが鳴いた。 わかったよ、伝えりゃいいんだろ?
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