第二章 森の家 二

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「犬と長男は同じだと思うね……薬物で眠らされて、そっと殺した。そこには、犯人の愛情が感じられる?」 「お、夏目、長男と犬は犯人から除外したのか。愛情よりも、怖がっていたという感じもするよ。犯人は、腕力に自信が無かった」  新井の案内で、一階の和室横を通り、外にあった風呂とトイレを抜けた。 「この家を設計した晃は、家の中に不浄がある事を嫌った。家の中には、綺麗なものしか置きたくなかった」  だから風呂とトイレを、家の外に出した。 「だから、犯人から晃を除外できる。晃は、死体を家の中に置いておけない」  外観を見たので、次は中を見てみたい。おおよその犯人は分かったが、その動機や方法は、まだ解明できない。 「……おい本村、これ本当に未解決なのか?犯人、分かるだろ、コレ」 「まあ、簡単に犯人が分かってしまうのは、夏目くらいのものでしょ。他の人には、先入概念というものがあるのよ」
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