第二章 森の家 二

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 内薗が、幸多が引き摺られていた跡を辿ってみると、幸多は子供部屋で殺されたはずなのに、引き摺った跡は玄関から始まっていた。 「玄関から引き摺ったまま階段を登る。子供部屋に入り一周すると、二階の廊下をウロウロと歩き回り、又階段を降りて、玄関のこの場所に幸多を置いた」  血痕の跡からすると、引き摺っていた時は幸多の頭は切断されていなかった。 「新井さん、幸多の血溜まりがあったのは、子供部屋でしたか?」 「いや、どちらかと言えば玄関だったね。でも、幸多君の血液は、帯状に長く続いていて、あちこちに血だまりがあった……心臓が止まった状態では。こんなに出血はしなかっただろうから、生きて引き摺られていたと考えた」  では犯人は、起点の玄関で少し考えていたということだ。 「最初に殺されたのは、幸多ですね……」  最初に殺した幸多には、迷いが感じられる、助けようとして、きっと玄関までは行ったのだ。でも、警察も救急車も呼ぶ事はなく、次の殺人に繋がってゆく。
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