第二章 森の家 二

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 新井が、晃がどのように死んでいたのか、指で追って説明してくれた。すると、犯人は最初に梯子から登った位置で晃を刺した。それから追いかけるように、屋根裏に登って刺し続けた。 「晃は幸多の死体を見て、警察に電話をした。そこで、すぐに家族の安否を確認するところだけど、それより先に、この屋根裏に来た。ここには、知られたくないモノがあった」  ここには、絵とデータしかない。でも、現場の写真では、絵や画材に荒らされた感じは無かった。 「壬生、消されたデータを全て探してほしい。上書きして完全に消されていても、再現してね」 『無理を言わないでください』  データを隠していたのならば、出ていた端末ではない。  俺は、屋根裏の天井の板を外すと、隙間に刺さっていたチップを本村に投げた。 「壬生、本村の携帯にチップを刺したから、頼む」 「夏目、俺の携帯電話を壊す気?」  本村は文句を言いつつも、携帯にチップを刺すと通信可能にしていた。
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