第三章 白い森

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 有希子は玄関で悲鳴を上げて、幸多を抱えて泣いている。家族はやってきて、ここに殺人鬼のような者が来たのだと勘違いする。晃は警察に電話をかけ、寝室に駆け上がる。新一は、キッチンに行き、炭酸飲料を一気飲みした。  新一が炭酸飲料を飲むのは、いつもの習慣だったに違いない。  有希子は、晃を追って寝室に入り、幸多の死よりも身だしなみを気にしている百合子を見る。そして、家の確認や幸多の事よりも、警察が来てもいいように、データを削除している晃に驚愕した。 「気付くと、有希子は晃を刺して、百合子も刺していた。そして、眠っている新一を刺し、犬も刺した」  窓の外は濃霧で、この霧は二時間程続く。残り時間を確認すると、有希子は晃の首、百合子の首、新一の首を切り落として並べてゆく。幸多の首を切り落とす頃には、残り時間が少なくなっていたので、急いで風呂場に行き、シャワーを浴びながら、自分の頸動脈を切った。 「それでは、有希子の首は誰が並べたの?」 「ここには、もう一人いて、有希子が自害した後に戻ってきた。そして、事情を悟り、有希子の首を切り落とし、綺麗に並べると、犬の首も切った」 
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