第三章 白い森

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 晃から電話があった時は、子供が殺されていた、犯人は分からないという悲鳴に近いものだった。家の中にまだ犯人がいるかもしれないので、助けてと叫んでいたが、パニック状態で状況が掴めなかった。 「まず、近くの交番が現場に向かいました。だが、神社の駐車場までは辿りついたのですが、その先の道が濃霧でしかもカーブの連続で進めなかった。一人が車で待機し、もう一人は歩いて現場に向おうとしたが、長かった……」   新井は、神社の駐車場で地元の交番と合流して、濃霧を確認していた。  霧が薄くなり、やっと現場に向かい始めると、既に通報から一時間が経過していた。 「この家に到着すると、玄関が閉まっていた。チャイムを幾度鳴らしても、返答が無かった」  数人が家の周辺を見回ると、窓から並んでいる首が見え、家族全員が殺されたのだと分かり、応援を呼んだ。 「家族全員が殺されている事から、外部の犯行だとして、延べ千人を越す警察官で山が調査されましたが、何も発見されなかった」
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